◆なかなかしたたかな安倍政権

 私は、皆さんの基本理念とは若干隔たりのある新聞社で政治記者をしており、二十一年前の中曽根政権の時から安倍総理で十三人目の総理全員に直接取材している。途中二年ほどワシントンで特派員をやり、昨年から今年の四月まで二年間、東大の大学院で授業やゼミをしていた。
 今日は当面の政治状況、それから来年以降の見通しの二本立てで話をする。
 安倍政権がスタートしてまだ半月、就任前、我々プロの世界では二つ見方があった。安倍さんは歴史認識にしても中国問題にしても、やはりいろんな面で拘るのではないか。いや、政権に就いたら政権をいかにマネージするかという方にウェイトを置き、意外と大化けするのではないか。
 この半月を見ている限り、ややその大化けに近い、中化けみたいな状況にある。具体的には、村山談話、河野談話などを踏襲するとさらりと認めた。靖国問題でも、中国、韓国に対し事実上これを封印して、関係改善に動き出した。一方で憲法改正を政治日程に載せる、A級戦犯は国内法では犯罪人ではないと言うべきことは言っている。全体としては、小泉路線、安倍さんの今までの発言をそっと修正している。「変わったと言われれば私の責任であります」というようなことを明確に言っている。そういう意味では安倍さんもなかなかしたたかな面もある。
 私の見るところ日本の保守勢力、特に右派と言われる方々には、非常に単純に区分けして親米右派と反米右派の二つの勢力があると思う。論壇で言うと、元駐タイ大使の岡崎久彦さんのような方は親米右派。反米右派と言うと、小林よしのりさんとか、西部邁さん。安倍さんの行動を見ているとやや親米右派的なスタンス。
 アメリカもこの一、二年は、日中があまりうまく行かないということに対して確かに懸念を示していた。アメリカのネオコンに言わせれば、こういう理屈であろう。
 アメリカのネオコンというのは、要するに独裁者を倒して裁判にかけてそこに民主主義を植え込むというのが基本的なスタンス。それを実践しているのがイラク。サダム・フセインをしょっ引いて、裁判にかけてイラクを民主化しようと。今それがかなり行き詰まっている。
 その理屈を日本に当てはめると、日本の軍国主義を倒して、東京裁判をやって、民主化させたという意味では、日本はネオコンの理想郷みたいなところがある。ところがそのA級戦犯問題、東京裁判問題になると、ネオコンもちょっとおかしいのではないかという議論が出てくる。それで日本の反米右派とアメリカと、根っこのところでバッティングすることもある。
 そのへん安倍さんは、なかなか巧みに親米右派路線をジワジワとやりながら外交も上手くマネージして、少なくともアメリカとの連携は揺るがないという状況にある。もちろんこれは自民党の中にも色々議論がある。しかし元々の伝統的な右派というのはやはりナショナリズムに根付いている。親米右派は、論理的にどこまで成り立つかどうか、本当は少し問題はあるのかも知れないが、日本はそういう意味では稀有なケースかも知れない。
 ということで、少なくとも外交において安倍さんは、その大化けの一歩手前の中化けぐらいで上手く乗り切っている。これは安倍さんのいろんな個人的な思いなどもあるが、直接的には国内政治の問題が大きいと思う。つまり、昨日告示された衆議院の補欠選挙、それから来年の参院選挙など国内政治的な情勢を睨むと、自民党以外の票、特にその無党派層と言われる票を集めるには、若干柔軟な姿勢を打ち出して行かないといけない。
 そういう意味で安倍さんの戦略は上手く効いているようで、補選も当初は自民党苦戦と言われていたが、大阪の方は自民党がどうも追い付いたという情勢にある。一方、神奈川の十六区の方でも、民主党が迫って来ているけれども、今のところ余裕はまだある。
 補選を二つ勝つのは、安倍さんのスタートダッシュにとって至上命題。よく中曽根さんの時に自民党が左にウイングを広げると言われたが、安倍さんも外交問題、歴史認識問題などで、そういう手法を取っているのではないか。そういうことで取り敢えずその補選睨みの作戦は、今のところ功を奏している。

 ◆北朝鮮の思惑と日本の立場

 今後の政治日程で、APECそれからASEAN+3というのがある。北の問題が最大の焦点になるだろう。北の問題を論理的に考えると、二つ可能性がある。
 一つは、北朝鮮は意外と冷静で、行くところまで行ったように見せておきながら最後は六者協議に戻ってくる。それもアメリカの中間選挙が十一月七日にあるので、その直前に六者協議に戻って、ある意味ブッシュ政権にとって外交的に一安心という所で高く売りつけるのではないか。六者協議と言っても事実上その中の米朝協議をスタートさせるという、かなり綿密な計算に基づいた核実験ではないか。
 もう一つは、もうそういう冷静な計算は無い。むしろ、どんどんエスカレートさせて行くという見方。
 いろいろ考察しているけど、どうも後者の可能性が高いのではないかと感じている。そうなると非常に日本も厳しい状況になってくる。国連での制裁が動き出す。それをアメリカがどこまで有志連合でやるのか。日本がどこまでそれに付き合うのか。更に核拡散の問題が出てきている。そういう今まで経験の無いような展開が想定される。これが先程の安倍さんの路線にも繋がる。
 安倍さんの親米右派のスタンスは、日本にとってプラス要因になっているのか。つまりアメリカが今最も懸念しているのは、あまり口には出さないが、北の核実験が日本の核武装に繋がって、それが台湾、韓国などに広がるということ。これはアメリカにとって最悪の展開。アメリカは恐らく日本の核武装に対しては絶対反対、あらゆる手段で阻止してくるだろう。
 安倍さんは、絶対アメリカと対立する様なことは言えない。アメリカとしては非常に大きな安心材料。安倍さんの親米路線は、上手く機能していくという意味で、そこも安倍政権はラッキーだった。アメリカも安心感を持って対応出来る。そんな情勢で、十一月、十二月の国際会議を通じて、様々な北に対するスタンスが出てくると思う。

 ◆来年の参議院選挙における自民党の四重苦

 政治スケジュールとしては年末に予算編成、年明けの通常国会、続いて統一地方選挙、参議院選挙とある。安倍政権は、今回の中国韓国訪問も非常に上手く行ったし、アメリカとの関係も上手く行ってはいる。その安倍政権に危惧があるとすれば、それは経済問題。辞めた竹中平蔵さんが、「ナロウパス」、非常に細い道の選択肢というようなことを言っていた。
 日本は、これだけ借金を抱えてどういう経済政策をやっていくか。もちろん地方の問題、格差の問題を抱えて以前のような公共事業の復活は出来ない。かと言って更にその財政を絞っていくと、格差、地方の不満というのは募りかねないという非常に狭い選択肢。
 それから仮に小泉路線を大幅修正して、規制緩和もやめる、財政の緊縮も一旦棚上げするとなると、日本国内ではある程度の評価、理解を得られる可能性はあるが、今や株式市場は半分が外資、改革にブレーキが掛かったとなると、株式市場でその外資が逃げる可能性が出てくる。そうすると株価が下がって、これがまた来年の参議院選挙に向けてマイナス材料になる。なかなかその全てにいい政策というのは打ちにくい状況にある。その点で今度の年末の予算編成が、安倍さんがどういうスタンスで臨むのかが見えてくる。ここが非常に難しい点ではないか。
 とにかく来年は参院選挙が天下分け目の戦い、我々政治記者としても何十年ぶりの非常にスリリングな選挙になる。簡単にその構図の話をする。自民党には、四つの障害、四重苦がある。
 一つは、六年前に小泉さんが圧勝した人達の改選。小泉さんは、四月に就任、その七月に参議院選挙。当時の内閣支持率は八〇%。各地で小泉ブームが起きて、追加公認を含めて六十五議席取った。どう見てもこれ以上の議席を取ることはあり得ない。この六十五議席を維持すること自体が非常に難しい。減り方をいかに少なくするか。
 二番目は、統一地方選挙と参院選挙は同じ年にある。これは十二年に一度、干支と同じで亥年に当たる。自民党は亥年の参院選挙に全部負けてきている。地方議員は自民党系の議員が多い。地方選挙が終わると、もう参院選は構っては居られないということでかなり組織が緩む。
 三番目は、この数年で市町村合併があり地方議員が非常に減っている。総務省に聞いてみると、この四年間で五万六千人から三万九千人になった。その減った一万七千人の内七割から八割が自民党系の議員、自民党の足腰からすると非常にマイナス。
 四番目は、参議院は四十七都道府県の選挙区があり、その内二十九は一人区、ここが自民党と民主党の天下分け目の決戦場になる。小泉構造改革が都市に繁栄をもたらした反面、地方の不満が非常に高まっている。あの郵政総選挙でも例えば北海道は十二議席の内四対八で、実は民主党が自民党の倍の議席を得ている。ということで二十九の一人区では、かなり苦戦が予想されている。
 この話を一度新聞のコラムで紹介をしたら、「亀井静香と申しますが」と電話があり、「障害はもう一つある」という指摘があった。何かというと、「わが国民新党が自民党の票をがっぽり取る。だからこれからは五重苦だ」と。確かに、六年前から見ると、参議院の全国比例で亀井さん、綿貫さん、郵政の票などがごっそり国民新党の方に行くと、自民党にとっては純減になる。
 それから、公明党と自民党が連立を組んで七年になる。例えば複数区で、神奈川、東京、埼玉、愛知、大阪などの複数区では、公明党が候補者を擁立するため自民党は自粛して候補者を一人に絞る。一方、民主党は二人立ててくる。愛知県では、民主党は二人立てて二議席狙う。そうすると自民党全体の票の底上げを考えても、公明党との連立、選挙協力が必ずしもプラスではないという面がある。
 民主党は小沢戦略で、大都市部でとにかく二人の内一人入ればいいということで、そういう手を打ってくる。ということで、自民党にとっては少なくとも構図としては非常に難しい選挙になってきている。

 ◆郵政選挙の得票分析と民主小沢代表の戦略

 実は昨年あれだけ自民党が圧勝した総選挙、郵政の賛否をそれぞれ小選挙区で足し合わせると、実は五十%超が反対の人だったというデータが出ている。自民党と民主党の票数を三百小選挙区で合わせてみると、五十七対四十三。十四ポイントの差に過ぎない。七%、百人のうち七人がAチームからBチームに移るだけで、情勢ががらっと変わる。それ程自民党は盤石というわけではない。
 小選挙区効果で、五七%の票数が八一%の議席数になっている。更に、公明党は八百九十八万の比例票を取っている。このうち選挙区は自民党、比例区は公明党という作戦で票を稼いでいるので、六百万が公明党の自力だとすると、その六百万が自民党の五七%に入っていることになる。となると自民党は、民主党に対して圧倒的に優位にいるわけではない。ちょっとしたはずみで情勢ががらがらと変わりかねないということになる。
 そうした構図の中で、小沢さんになって民主党はかなり地方で自民党系の方とも連携を始めて行こうとしている。小沢さんというのは、政局と政策ということを考えると非常に政局思考である。政策を打ち出しても、それは多分政権をとるための政策に過ぎないというか、政権をとってしまえばこっちのものという考えがある。細川政権の時も、政権をとってからいろいろやるという考え。それから消費税七%を突然打ち出して自滅ということになった。そういう思考なので、かなりドライに政局思考で臨んでくると思う。
 とはいえ、それは民主党の風土に合わない面が実際には出てきている。民主党には政策オタク系も多いので、マニフェストをやった以上、ある程度政策のメニューを出して選挙に臨むべきだという「べき論」が実はある。まあそれでも、ここは小沢さんに取り敢えず従っていこうというところ。
 小沢民主党も、とにかく選挙で勝ち続けていくことが至上命題になっている。ちなみに、この前の小沢さんの入院問題、あれは端的に言えば、恐らく仮病だと思う。三十七年間付き合ってきた渡部恒三さんを党大会の後の記者会見でクビにして、国対委員長をクビにすることを発表しなくてはいけない。その時にいろいろ新聞記者から突っ込まれると非常に面倒で嫌だ。そういう非常に子どもっぽいところがある反面、非常に政局的なドロドロとしたのを得意とする反面がある。非常に二重人格と言うか、そういう面があって、どうも病院でもケロっとしていたようだ。小沢さんの健康問題で、これからの政局がどうこうということにはならないと思う。
 あと意外と知られていないかもしれないが、小沢さんは細かいことをやる。来年の参議院選挙の直前に補選がある。沖縄では、沖縄大衆党の女性が今度参議院から転じる。まず野党陣営が勝つ。それから盛岡では、現職の達増氏が今度知事選に出る。すると、衆議院の岩手一区で補選が生じる。これも民主党が勝つだろう。その勢いで参議院選に行こうというのが小沢作戦。その辺り、自民党の方は、ただ呆然として見ているだけ。
 いずれにしても最近では、鳥取の川上さんとか、各地で自民党の一部、保守系自民党系の方と連携を始めている。吉と出るか凶と出るか、非常に微妙なところだ。民主党の今までここ数年築いてきた政策本意のマニフェスト思考の在り方からすると若干異質なので、このへんがどうなるかが一つのバクチ。いずれにしても小沢路線で来年の参議院選まで突き進んでいくことになる。

 ◆どうなる郵政法案反対議員の復党問題

 そこで皆さんご関心の復党問題、自民党にとっては非常に大きな問題である。率直に言って三つぐらい選択肢がある。
 一番目は、片山さんがよく唱えている、もう一気にやれ、古い鉄は熱い内に叩け。年内に一気に解決して、特にその地方選挙区の体制を整えようという選択肢。
 二番目は、もうやる前から参議院の山本一太だとかが騒ぎ始めているし、世論調査でもあまり芳しいわけではない。ということで先送りにする。中川秀直新幹事長が、あまり一気にやりたくないというニュアンスのことを言っている。そう簡単に進まない観測もある。
 三番目は一番目と二番目の中間ぐらいで個別にいろいろ話をつけて、選挙区事情で対応していこうというような話。どうもこれもそう簡単ではないという状況がある。
 ただ私の見た感じでは、中川幹事長もそんなにバッサリとやれる人ではない。政権の顔である官房長官の塩崎さんは、どちらかというと人気取り型。泥をかぶってでもやるというところには、なかなか辿り着きにくい布陣のような気がする。
 そういう事情の中で、一つキーワードとして出てくるのが公募制と予備選。安倍さん、塩崎さん、それから官邸に首相補佐官で入った世耕さん、三人の共通点は、自民党の中で党改革をやったこと。だから世耕さんは、時間をかけて予備選を導入していきたいというようなことを言っている。ただこれも一長一短ある。
 私は基本的には将来、小選挙区になった以上、自民党も民主党も予備選を導入して党員による決着を付けることが、一番透明で民主的で公平のような気がする。アメリカでは現職でも予備選に出る。ヒラリーさんがこの前ニューヨークの予備選で勝って上院選挙に今度出るとか、共和党の現職上院議員が民主党の副大統領候補だったリーバーマンという人と予備選に出て敗れ、何と今度無所属で出るという。
 予備選というのは、本来的にシステム的には良いことなのだろうが、その導入でなんとなく決着を出来ないかというようなことを言っている。これも選挙区によって事情がある。例えば岐阜では、圧倒的に野田さんの方が自民党の組織を押さえている。佐藤さんはなかなか組織にも入れないような状態。党員の予備選でやればもう野田さんが圧勝するというような情勢らしくて、必ずしも現職にとって有利とは限らない。
 そういう話がいろいろ乱れ飛んでいる。昔で言うと金丸さんだとか、泥を被ってでもやっていこうというような執行部の方がなかなか自民党にはいないので、実態としては意外と進まない状況ではないか。しかし来年の参議院選挙に自民党が負ければ、もう元も子も無い。非常に頭の痛いテーマではあると思う。
 来年の参議院選挙で、自民公明グループが仮に十六議席負ければもう与野党逆転ということになる。そうすると法律は何も通らないという状況も出てくる。衆議院の三分の二で再可決という手法はあるが、これを何度もやるということは考えにくい。参議院無用論にもなってしまう。
 だから、来年の参議院選挙前にかけて、政治大乱という流れも出てくると見ている。それに向けて様々な要因、外交、北朝鮮それから国内の経済の行方などがいろいろ絡んでくる。いずれにしても来年から、政治大乱の時期が始まる。

 ◆気になる二〇〇八年アメリカ大統領選挙

 あと二つほど。日本も国際社会の中で日本だけで生きているわけではない。特に同盟国のアメリカの動向が非常に気になる。十一月七日にはその中間選挙、今のところ下院では民主党が逆転するという情勢。それが終わると、二〇〇八年の大統領選挙に向けて動き出す。民主党は、ヒラリー・クリントンが候補になりそうだ。共和党は、今のところマッケイン上院議員とか、ニューヨークの市長とかの名前が挙がっている。この前来日したマイケル・グリーンの見方だと、もうマッケイン対ヒラリーになるのではないかという。
 仮にヒラリーになると、おそらくアメリカの政策はかなり変わってくる。イラクの問題も撤退の話が出てくる。京都議定書の方は、ヒラリー自身は賛成、議会で批准しなければならないので直ぐには行かないだろうが、これも見直しのようなことになってくる。いろんな面で変化が生じてくる。
 これはニューヨークタイムズの記者から聞いた小話。ヒラリーの実家はシカゴ、そこへクリントンとドライブに行って、ガソリンスタンドでガソリンを入れた。そのガソリンスタンドの経営者がヒラリーの幼友達だったらしい。そこでクリントンが、「お前もあの男と結婚していたら今頃ガソリンスタンドのおばさんだなぁ」と言ったら、ヒラリーが「いやそうじゃなくてあの男性が大統領になっている」と言ったという。
 ともあれ、日本の政治も、国内の政治そして外の動きなどを睨んでいかないといけない。

 ◆問われるメディアと民主主義

 それから最後にもう一つ。最近私も、メディアの在り方を時々考えたり物を書いたりしている。昨年の郵政の時から一年経ち、メディアも少しは反省を始めている。あの時、総選挙なのに郵政一本でやりましょうという小泉路線に押し切られた恰好になった。どこのワイドショーをつけても刺客の騒ぎばかり。どうも真面目な選挙報道が出来なかった。メディアによっては非常に反省をして見直しを今進めている。
 ただ、テレビ局の状況を聞くと、構造的に問題がある。例えばお台場にフジテレビがあるが、正社員は八百人ぐらい。毎日三、四千人が 出入りしているがほとんどが下請けのプロダクション。例えば、年金問題をやって視聴率が低いと、なんで刺客をやらないのだとなり、刺客をやる。それをやってある程度の視聴率を維持する。他局も似たようなもの。
 昔は、テレビの影響力はそれほどなかった。今やもう明らかに新聞を凌いでいる。新聞はそれなりに人材を育てたり、いろいろお金をかけたりしてはいるけど、影響力が下がってしまった。テレビは、人材とかがスカスカだけれども実は影響力はものすごく大きくなっている。これは我々もメディアの一員として考えて行かないと、民主主義全体の発展進歩のために良くない。そう思って少しずつ改善の動きを始めている。
 皆さんもテレビとかに出られる機会が多いと思う。政治家、官僚の政策決定者も、説明責任を果たしていただく。あまりに熱しやすく冷めやすいという世論も、もう少し静粛にしてもらう。メディアは賛成反対の論議をきちんと紹介して、落ち着いた政策論争が出来るような環境を作って行く。というようなことを三者三様に努力していく。民主主義の政治は、そうでなければと思っている。

 《質疑応答》

 ●質問 今度の北朝鮮の核実験はアメリカを意識しているのでは。
 ○星  三年前の小泉ブッシュ首脳会談で、ブッシュは北には絶対核開発をやらせないと何度も言っている。ところが核実験までやられた。徹底的にブッシュを追い込み、それをカードに高く売りつける。ただ、どうもそこまで北朝鮮の方に余裕があるのかどうか。
 ●質問 それが彼のラストリゾートか。捨て身の作戦で恐ろしい。
 ○星  ただこれをやりすぎると、特にアメリカにとって核拡散問題は見逃せない。もしかすると国連決議が出た後にピンポイント攻撃という可能性はある。
 ●質問 今後の安倍政権はやはりブッシュとか共和党との連携の方がよいか。
 ○星  ブッシュ政権は、日本をイギリスに次ぐ近い同盟だと思っている。かなりのことをやっても、小泉・安倍ラインはついてくると思っている。いつまでも利害が一緒であればいいけれど、ある段階でその利害が対立する可能性はある。アメリカがピンポイントで北を撃ったら、北は日本に反撃してくる可能性もある。ここは非常に難しい選択になってくる。
 ●質問 経済財政政策は、参議院選挙を占う上で非常に重要ではないか。
 ○星  ナロウパスで本当に難しい。やはり小泉時代に五年半、幾つか失われた部分がある。消費税だけでなく、いろんな税の見直しがほとんどほったらかしだった。
 だから、消費税で三%なら三%アップするけど、その代わり福祉の方もやるというようにしないと、結局行き詰まるのではないか。安倍さんも歴史認識とか中国韓国外交では一種豹変したけれど、今年から来年の参議院選挙の後にかけて、消費税問題でも安倍さんの豹変の時期が迫っているのではないか。
 ●質問 安倍政権は次の参議院選挙に向けて、地方団体等の対策が大事ではないか。
 ○星  明らかに小泉時代の五年半で、日本の自治体は三つに分かれた。東京とか名古屋を中心とした大都市で、もの凄いリッチな所。それから取り敢えずは凌げるけど、ちょっと先は不安がある県庁所在地もしくはそれに準じる所。それからいくら頑張っても工場誘致などが絶対に出来そうもないような所。明らかに三番目の所は、もう一種捨ててる感じになっている。実はこれは自民党の今まで強かったところ。本当は自民党にとっては非常に深刻な事態だと思う。だけど全くその立て直しというか政策を転換する動きは無い。結局、増税でその分をちゃんと分配し直すことをしなければならないのではないか。つまり三位一体の改革をやっても、所得税とか払っていない、払えない地域いっぱいある。そこに財源、税源を移譲しても、あまり効果は無い。
 だから私は、外交問題以上に深刻だと思う。
 ●質問 先程五重苦の話があったけど、国民新党は議席が取れるか。
 ○星  自公が議席を減らして、三つか四つの差で過半数を失う可能性ある。その場合は、安倍政権は終わりになる。そうすると、ポスト安倍の総裁選挙に、小泉・安倍路線に一番抵抗した人が出てくる。それから参議院で多数派工作をしなくてはならない。民主党はもう次は総選挙で政権交代だと押せ押せになり、自民党に行く人はまずいない。
 そうなると国民新党が五、六人いて、自民党と連立をしたら、辛うじて参議院の過半数が取れるというシミュレーションができる。その時国民新党は、最低でも五か六ないと辛い。非改選の人含めて今度の選挙では、三つか四つを取らなくてはいけない。どうもこの感じだと、比例では三つは取りそうだ。
 ●質問 取りそうですか。
 ○星  自民党の選対は、もしかすると三つ。二つは行くだろうと見ている。参議院は、衆議院のブロック比例と違って全国の票を積み上げる。例えば福井では国民新党系の人が民主党を表で押し、裏の比例票は国民新党に貰う。五、六議席あれば、それを自民党に高く売ることができる。
(文責・正しい日本を創る会事務局)